この記事の要点
建物の分割の登記は、表題登記がある建物の附属建物を、その登記記録から分割して、登記記録上別の1個の建物とする登記です(不動産登記法54条1項2号)。
建物そのものを壊したり建て直したりする物理的な変化はなく、登記記録の上での整理にあたります。
申請できるのは表題部所有者または所有権の登記名義人で、申請義務や期間制限はありません。
建物の分割の登記とは、主である建物と一緒に1つの登記記録に登記されている附属建物を、その登記記録から切り離して、別の1個の建物として登記し直す手続です(不動産登記法54条1項2号)。
たとえば、母屋(主である建物)の登記記録に、物置や離れが「附属建物」として一緒に記録されていることがあります。この附属建物を独立した1個の建物として扱いたいときに使うのが、建物の分割の登記です。
名前が似ているため混同しやすいのですが、「分割」は建物の登記、「分筆」は土地の登記です。土地を複数の筆に分けるのが分筆登記、建物の附属建物を別の登記記録に分けるのが建物の分割の登記です。対象が土地か建物かが、まず大きな違いです。
また、建物の分割では建物に物理的な変化は生じません。実際に壁を壊して2棟にするわけではなく、あくまで登記記録上の整理である点に注意します。物理的に1個の建物になる「合体」とは性質が異なります。
建物の分割の登記を申請できるのは、表題部所有者または所有権の登記名義人です(不動産登記法54条2項)。これ以外の人は申請できません。
そして、この登記には申請義務や期間制限はありません。地目変更登記や建物の滅失の登記のような「1ヶ月以内」といった義務はなく、所有者が必要に応じて任意で申請する登記です。
不動産登記法54条1項は、「分割」「区分」「合併」をまとめて定めています。混同しやすいので、対象と方向で整理します。
| 登記の種類 | 内容 | 方向 |
|---|---|---|
| 建物の分割 | 附属建物を別の1個の建物として登記記録を分ける | 1個 → 2個(記録上) |
| 建物の区分 | 区分建物に該当する部分を、登記記録上の区分建物にする | 専有部分ごとに分ける |
| 建物の合併 | 表題登記がある建物を、他の建物の附属建物にする | 2個 → 1個(記録上) |
「分割」と「合併」はちょうど逆向きの登記で、どちらも物理的な変化を伴わない登記記録上の整理です。これに対し「合体」は、増築などで物理的に1個の建物になる場合の登記で、性質が異なります。
令和5年度(午後の部)では、建物の分割・区分・合併の登記について、対象(附属建物か、区分建物に該当する部分か)や申請できる人、申請義務の有無などが問われました。「分割は建物・分筆は土地」「物理的変化はない」「申請できるのは表題部所有者または所有権の登記名義人」を押さえておくと整理できます。
Q. 建物の分割の登記は、建物を物理的に2棟に切り離す工事をしてから申請する。○か×か。
×。建物の分割は附属建物を別の登記記録に分ける登記で、物理的な変化を伴いません。記録上の整理です。
Q. 建物の分割の登記を申請できるのは、表題部所有者または所有権の登記名義人である。○か×か。
○。不動産登記法54条2項により、これらの者が申請できます。
Q. 建物の分割の登記には、1ヶ月以内に申請しなければならない義務がある。○か×か。
×。建物の分割の登記に申請義務や期間制限はなく、所有者が任意で申請する登記です。
建物の分割の登記は、附属建物を登記記録から分けて別の1個の建物にする登記で、物理的変化はなく、申請できるのは表題部所有者または所有権の登記名義人、申請義務はありません。
「分割は建物・分筆は土地」「分割と合併は逆向き」「合体は物理的変化あり」を区別して覚えましょう。
この論点が問われた過去問の解説です(新しい年度から順)。
参考にした資料
・不動産登記法54条(建物の分割、区分又は合併の登記)/同条の定義・申請人について、行政書士・司法書士等の条文解説で確認
・令和5年度 午後の部(建物の分割・区分・合併)/法務省 公式問題
※制度・取扱いは変更されることがあります。最新の情報は法務局・法務省でご確認ください。内容確認日:2026年6月13日。
まちがえやすいポイント
建物の「分割」と土地の「分筆」を取り違えないことが第一です。建物の分割は附属建物を別の登記記録に分けるもので、建物を物理的に壊して2棟にするわけではありません。また、地目変更などと違って申請義務(1ヶ月以内など)はなく、任意の登記である点もあわせて押さえましょう。