この記事の要点
共用部分である旨の登記は、管理人室や集会室のような規約共用部分について、その旨を登記記録の表題部に記録する登記です(不動産登記法58条)。
申請できるのは表題部所有者または所有権の登記名義人で、この登記をすると登記官が職権で表題部所有者の登記や権利に関する登記を抹消します。
廊下や階段などの法定共用部分は、そもそも登記の対象になりません。
共用部分である旨の登記とは、本来は専有部分として登記できる部分を、規約によって共用部分(規約共用部分)と定めたときに、その旨を登記記録の表題部に記録する登記です(不動産登記法58条)。
マンションの管理人室・集会室・物置などは、構造としては独立した部屋として使えるため、本来は専有部分になり得ます。これを規約で「みんなの共用部分」と決めた場合に、その事実を公示するのがこの登記です。
共用部分には2種類あり、登記の扱いがまったく異なります。
| 種類 | 例 | 登記 |
|---|---|---|
| 法定共用部分 | 廊下・階段・エレベーター・外壁など、構造上当然に共用する部分 | 登記の対象にならない |
| 規約共用部分 | 管理人室・集会室・物置など、本来は専有部分になり得るが規約で共用部分にした部分 | 共用部分である旨の登記をする |
登記できるのは規約共用部分だけです。法定共用部分は、もともと誰の専有でもないため登記の対象になりません。なお規約共用部分は、共用部分である旨の登記をしなければ、その旨を第三者に対抗できません。
共用部分である旨の登記を申請できるのは、その建物の表題部所有者または所有権の登記名義人です。これ以外の人は申請できません。
そして、この登記がされると、登記官は職権で、その建物の表題部所有者の登記や権利に関する登記を抹消します。共用部分は専有部分と一体で扱われ、単独で所有権の対象にならないため、所有者として誰かが登記され続けることがなくなるのです。
なお、所有権等以外の権利に関する登記(抵当権など)があるときは、その権利の登記名義人の承諾がなければ、共用部分である旨の登記を申請することはできません。
令和5年度(午後の部)では、区分建物に関連して、共用部分である旨の登記の申請人や、登記がされたときの職権抹消、規約共用部分と法定共用部分の区別などが問われました。「登記できるのは規約共用部分」「申請は表題部所有者または所有権の登記名義人」「登記後は職権で所有者・権利の登記が抹消される」を押さえておくと対応できます。
Q. マンションの廊下や階段について、共用部分である旨の登記をすることができる。○か×か。
×。廊下や階段は法定共用部分で、登記の対象になりません。登記できるのは管理人室などの規約共用部分です。
Q. 共用部分である旨の登記をすると、登記官は職権で表題部所有者の登記や権利に関する登記を抹消する。○か×か。
○。不動産登記法58条により、登記官が職権で抹消します。
Q. 共用部分である旨の登記は、表題部所有者や所有権の登記名義人でなくても申請できる。○か×か。
×。申請できるのは、その建物の表題部所有者または所有権の登記名義人だけです。
共用部分である旨の登記は、規約共用部分についてその旨を表題部に記録する登記で、申請は表題部所有者または所有権の登記名義人、登記後は登記官が職権で所有者・権利の登記を抹消します。
「登記できるのは規約共用部分だけ(法定共用部分は対象外)」を軸に覚えましょう。
この論点が問われた過去問の解説です(新しい年度から順)。
参考にした資料
・不動産登記法58条(共用部分である旨の登記等)/区分所有法(規約共用部分の対抗要件)/申請人・職権抹消について、土地家屋調査士・司法書士等の条文解説で確認
・令和5年度 午後の部(区分建物・共用部分)/法務省 公式問題
※制度・取扱いは変更されることがあります。最新の情報は法務局・法務省でご確認ください。内容確認日:2026年6月13日。
まちがえやすいポイント
廊下や階段などの法定共用部分は、登記の対象になりません。共用部分である旨の登記ができるのは規約共用部分だけです。また、この登記がされると登記官が職権で表題部所有者や権利の登記を抹消する点、抵当権などがある場合はその名義人の承諾が必要な点もあわせて押さえましょう。