この記事の要点
建物図面・各階平面図は、建物の物理的な形状や位置を示す図面です。だから、その形状・位置が新たに生じたり変わったりする登記では提供が必要、形状・位置に関係しない登記では不要になります。
必要:建物表題登記/床面積・構造・所在の変更/分割・区分/附属建物の新築。
不要:建物の滅失/種類の変更/規約に関する登記(規約敷地の設定・共用部分である旨の規約の廃止など)。
記述式でも択一でも、「この登記に建物図面・各階平面図はいるのか?」がよく問われます。一つずつ丸暗記すると混乱するので、まず「図面は建物の形と位置を写したもの」という性質から考えると、要否の判断が一本の筋でつながります。
建物図面は敷地のどこに建物があるか(位置)、各階平面図は各階の形と床面積を表します。したがって、図面に表れる物理的な形状・位置が生じる・変わる登記では図面が必要で、そうでない登記では不要、という整理になります。
| 登記 | 必要な理由 |
|---|---|
| 建物表題登記(新築) | 建物の形と位置が新たに生じるため |
| 床面積の変更(増築など) | 各階の形・面積が変わるため |
| 構造の変更 | 建物の物理的な状態が変わるため |
| 所在の変更(地番変更・えい行移転) | 敷地に対する位置が変わるため |
| 建物の分割・区分 | 建物の区切り方(形)が変わるため |
| 附属建物の新築 | 主・附属の両方について形と位置が生じるため |
| 登記 | 不要な理由 |
|---|---|
| 建物の滅失・附属建物の滅失 | 建物がなくなるので図面に描くものがない |
| 種類の変更 | 用途が変わるだけで、形・位置は変わらない |
| 規約敷地の設定 | 権利・規約の問題で、建物の形・位置は変わらない |
| 共用部分である旨を定めた規約の廃止 | 同上(形・位置に関係しない) |
令和3年度(午後の部)をはじめ、建物図面・各階平面図の提供の要否は繰り返し問われています。所在の変更(えい行移転など)では必要、共用部分である旨の規約の廃止では不要、といった具体的な場面で要否を判断させる出題が多いです。「図面に表れる形・位置が動くかどうか」で考えると、暗記に頼らず判断できます。
Q. 建物の滅失の登記を申請するときは、各階平面図を添付情報として提供しなければならない。○か×か。
×。滅失の登記では建物がなくなるため、建物図面・各階平面図の提供は不要です。
Q. 建物の構造の変更の登記では建物図面・各階平面図が必要だが、種類の変更の登記では不要である。○か×か。
○。構造は図面に表れる物理的な状態なので必要、種類は用途の話で形・位置に影響しないため不要です。
Q. 建物の分割の登記では、建物図面・各階平面図を提供する必要がある。○か×か。
○。分割は建物の区切り方(形)が変わるため、図面の提供が必要です。区分の登記でも必要です。
建物図面・各階平面図は、建物の形・位置が生じる・変わる登記(表題登記・床面積/構造/所在の変更・分割・区分・附属建物の新築)で必要、形・位置に関係しない登記(滅失・種類の変更・規約関係)で不要です。
「図面は建物の形と位置を写すもの」という性質から考えると、一つずつ覚えなくても要否を判断できます。
この論点が問われた過去問の解説です(新しい年度から順)。
参考にした資料
・建物図面・各階平面図の添付情報としての提供の要否(建物表題登記・床面積/構造/所在の変更・分割・区分・附属建物の新築=必要、滅失・種類の変更・規約敷地の設定・共用部分である旨の規約の廃止=不要)について、不動産登記令別表・規則に基づく土地家屋調査士試験の過去問解説(各登記の要否と対応する出題年度)で確認
・令和3年度ほか 午後の部(建物図面・各階平面図の提供の要否)/法務省 公式問題
※個別の取扱いは事案により異なります。実際の申請は最新の法令・法務局の取扱いをご確認ください。内容確認日:2026年6月13日。
まちがえやすいポイント
同じ表題部の変更でも、「構造の変更」は図面が必要なのに、「種類の変更」は不要です。構造は建物の物理的な状態(図面に表れる)ですが、種類は用途の話なので図面に影響しないためです。また、滅失の登記では図面は不要(描く建物がない)という点も、つい「建物の登記だから図面がいる」と勘違いしやすいので注意しましょう。