この記事の要点
職権による分筆・合筆は、申請がなくても登記官が分筆や合筆の登記をする場合のことです(不動産登記法39条)。
一筆の土地の一部が別の地目になったとき、または地番区域を異にするに至ったときは、登記官は職権で分筆の登記をしなければなりません(義務的)。
また、14条1項の地図を作成するため必要があるときは、表題部所有者などの異議がないときに限り、職権で分筆・合筆の登記ができます(任意的)。
分筆・合筆の登記は、原則として表題部所有者または所有権の登記名義人の申請によって行います。しかし不動産登記法39条は、一定の場合に、登記官が申請を待たずに職権で分筆・合筆の登記をすることを認めています。
職権による分筆・合筆には、「しなければならない(義務的)」場合と「できる(任意的)」場合の2つがあり、対象や条件が異なります。
一筆の土地の一部が別の地目になったとき、または地番区域を異にするに至ったときは、申請がなくても、登記官は職権でその土地の分筆の登記をしなければなりません。
たとえば一筆の宅地の一部が公衆用道路になったように、1つの土地の中に異なる地目が混在することになった場合です。一筆一地目(1つの筆には1つの地目)の原則を保つため、登記官の側で分けることが義務づけられています。
登記官は、14条1項の地図を作成するため必要があると認めるときは、表題部所有者または所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で分筆または合筆の登記をすることができます。
こちらは地図づくりのための整理で、「できる」規定です。所有者の異議がないことが条件になっている点に注意します。
| 区分 | きっかけ | 対象 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 義務的(39条2項) | 一部が別の地目/地番区域を異にする | 分筆のみ | しなければならない |
| 任意的(39条3項) | 地図を作成するため必要 | 分筆・合筆 | 異議がないときに限りできる |
大きな違いは2つです。第一に、効果が「しなければならない(義務)」か「できる(任意)」か。第二に、対象に合筆が入るかどうかで、義務的な職権は分筆だけ、合筆が職権でされるのは地図作成のための任意的な場合に限られます。
令和5年度(午後の部)では、登記官が職権で分筆・合筆の登記をする場面について、地目や地番区域の変化による義務的な職権分筆と、地図作成のための任意的な職権分筆・合筆との区別、合筆が職権でされる場合などが問われました。「地目・地番区域なら分筆を義務的に」「地図作成なら異議がないときに限り分筆・合筆を任意的に」を押さえておくと対応できます。
Q. 一筆の土地の一部が別の地目になったときは、申請がなくても登記官が職権で分筆の登記をしなければならない。○か×か。
○。不動産登記法39条により、地目が分かれた場合や地番区域を異にするに至った場合は、職権で分筆の登記をしなければなりません。
Q. 登記官は、地図を作成するため必要があれば、所有者の異議の有無にかかわらず職権で合筆できる。○か×か。
×。地図作成のための職権の分筆・合筆は、表題部所有者または所有権の登記名義人の異議がないときに限られます。
Q. 地目や地番区域の変化を理由とする義務的な職権登記には、分筆だけでなく合筆も含まれる。○か×か。
×。義務的な職権登記は分筆だけです。合筆が職権でされるのは、地図作成のための任意的な場合に限られます。
職権による分筆・合筆は、地目や地番区域の変化による義務的な分筆と、地図作成のための任意的な分筆・合筆(異議がないとき)の2つで、義務的なのは分筆だけです。
「義務か任意か」「分筆だけか合筆も入るか」の2点で区別して覚えましょう。
この論点が問われた過去問の解説です(新しい年度から順)。
参考にした資料
・不動産登記法39条(分筆又は合筆の登記)/義務的職権分筆(地目・地番区域)・任意的職権分筆合筆(地図作成・異議がないとき)について、条文および法令データベースの解説で確認
・令和5年度 午後の部(職権による分筆・合筆)/法務省 公式問題
※制度・取扱いは変更されることがあります。最新の情報は法務局・法務省でご確認ください。内容確認日:2026年6月13日。
まちがえやすいポイント
義務的な職権登記は「分筆」だけで、「合筆」は含まれません。合筆が職権でされるのは、地図を作成するため必要で、かつ所有者の異議がないときに限られる任意的な場合だけです。「地目・地番区域=義務的な分筆」「地図作成=任意的な分筆・合筆(異議がないとき)」をセットで押さえましょう。